「新しい霊長類学」

  京都大学霊長類研究所  ブルーバックス  平成22118

いわゆる「サル学」の話。文化猿類学といったところから、DNAによる系統の話まで。各編がそれぞれの研究者によった執筆されている。筆者にもよるが、まあ、分かりやすい本だった。

 猿の出現は意外と古く、数千万年前だという。人間とチンパンジーの共通の祖先は800万年前だったという。面白いのは、現在の人間は全員、約20万年前にアフリカに居たひとりの女の子孫だそうだ。そういう意味ではみんな親戚なんだろう。

 猿の社会はいろいろな構造があって、ニホンザルでは母系集団だという。大人になる前にオス猿は群れを離れる。チンパンジーは逆に、メス猿が群れを離れていくそうだ。いずれも近親交配を避けるためのものらしいが、どうしてそんな文化になったのか興味深い。

 また交配関係もいろいろで、乱婚形態、一夫多妻、一夫一妻などなど。それに応じてオスの精巣の大きさがずい分変わるのだという。乱婚のチンパンジーは精巣がゴリラの10倍もあって一日10回以上も交尾を一年中続けることが可能だそうだ。一夫多妻のゴリラは競争関係が無いためか、いたって消極的で、ヒトはその中間くらいだというのが面白い。何事も適度な競争は必要なのかも。

 猿全般にわたるお話だったが、読み終わった感想は、ヒトはほとんど猿という種類のクビキから離れられないなというものです。人間っていったいなんだろう。進化とはナンだろう。こんな変化が突然変異と自然淘汰だけで出現するものなんだろうか。

 ちなみに、人間の属する科には四つの属があり、オランウータン、ゴリラ、チンパンジーそれにヒト属というそうだ。これらをまとめてヒト科というそうだ。へー。