「お葬式はなぜするの」
碑文谷創 講談社+α文庫 平成22年2月6日
奇しくも内の孫と同じ名前の著者、というのは買ってから気がついた。自称葬送ジャーナリスト。現在九割ほどの葬儀が仏式で行われているようである。
なぜ仏式かというと、それはまず自分のご先祖様からずーっとそうしてきたからだというのが正直なところだろう。それが何となく安心できるからだと。しかし、その内容は、時代とともに変わっていく。大きな変動は、土葬の禁止と、家制度が崩れてしまったということ。家制度の崩壊は、民法で法律上の基礎をなくしたことではなく、農地を基盤とした封建制が、名実ともに資本主義の労働社会に変わったことによるのであろう。それと、医療技術や福祉制度の向上によって、大変な高齢化社会を迎えてしまった。極端に言えば、老人は社会にとっても、家族にとっても重荷となってきているのではあるまいか。そうした中で、人間の死も扱われ方が変容してくる。いわく家族葬、いわく直葬。要するに、家族の死は家族だけのものだから、放っておいてもらいたいという家族の心情。それでも故人の社会的なお別れなんだからという著者の主張。人を送るというのはどういうことなのか。古くはネアンデルタール人の遺跡にも、葬送の痕跡があるのだという。仏教はもともと、葬式を重視しない思想であった。今は葬式が主な業務となってしまっている。死をきちんと考えることは、生をきちんと考えることなのだから、それは大切なことなのだが・・・。
あとはお墓のありようにも触れられている。安直な感じのタイトルだが、とても重い本だ。